「この首輪、本当に快適なんだろうか？」

「愛犬用の首輪を作ってほしい」
そんな声をもらったのがきっかけで首輪づくりが始まったのですが、何度試作しても「これだ！」と思えるものができない。ある日、散歩中の愛犬を眺めながら、「そもそも、その首輪は本当に快適なんだろうか？」 という問いかけが頭に浮かびました。

作り手の僕らや飼い主さんが「これがかわいい」、「こっちのほうがかっこいい」と思っても、それが本当に愛犬にとって好ましいかどうかは別の話。実は重く感じていたり、ゴワゴワして痛かったりして、ストレスになっているかもしれません。

「愛犬は家族の一員」というフレーズをよく聞きます。だから、軽くて、やわらかくて、首にストレスがないものがいい。そんな首輪を作りたい。そう考え、原点に立ち返り、アイディアを見直すことにしました。

まずは、素材の話から。
使うのはヘンプコットン。

ヘンプ（麻）は成長が早く、農薬や化学肥料の使用が少なくて済み、水の使用量も少ないため、環境への負荷が低いです。さらに、二酸化炭素を多く吸収し、土壌改善にも貢献します。
そのため、持続可能(サステナブル)な素材として注目されています。

じつは、日本でも古くから親しまれ、注連縄（しめなわ）や鈴緒（すずお）などの神事、七味唐辛子の麻の実、大相撲の横綱の化粧まわしにも使われてきた素材なんですよね。

抗菌・防臭・吸水・速乾・UVカット と、ヘンプが持つ優れた機能性は、散歩する愛犬にとってドンピシャな素材。
そのヘンプ糸と柔らかい綿糸を織り合わせることで、サラッとした心地よい肌ざわりの生地に仕上がります。
それがヘンプコットンです。

ちなみに、ヘンプは『アトピー性皮膚炎を含む さまざまな皮膚トラブルに良い影響を与える可能性がある』 とも言われています。

科学的に完全に証明されているわけではありませんが、吸湿性が高く、天然の抗菌作用を持ち、農薬や化学肥料をほとんど使わずに育つため、肌にやさしい素材であることは想像できますよね。

実は、アトピー性皮膚炎は人間だけでなく、犬も発症することがあります。デリケートな肌を持つ彼らにとっても、刺激の少ない天然素材はやさしい選択肢のひとつかもしれませんね。