Thought
モノは、完成した状態で終わりではなく、
使われることで育っていくものだと思っています。
使い込むほどに馴染んでいく感覚。
それが、いちばん心地いい。
自然が育てた天然素材。
それを軸にする。
人は本来、手ざわりや肌ざわりの“ナチュラルさ”に惹かれるというか、
そういう相性の良さを、本能的に感じるからではないでしょうか。
布一枚からモノを作るという作業は、
どこか彫刻的なアプローチに似ています。
加えたり、削ってみたり。
ときには色を足したり、刺繍を入れたりと。
そんな感じで整えていきます。
適材適所で、強度の高い素材を組み合わせたいというのも、
“長く使いたい”という、
至極まっとうで、合理的な考えで作っています。
モノは使い込めば、色も形もゆっくりとエイジングしてゆく。
とくに天然素材は、本来の温かみが浮き出てきたりして。
共に歩んできた記憶とか記録が交わり、
かけがえのない存在になってゆくのだと思います。
もとは服づくりです
。
イギリスに住んで、
モノを作って売っていた時期があります。
当時はハリスツイードに興味があり、
実際にハリス島の職人さんの元へ訪ねたりもしました。
そんな体験を通し、
素材が持つ力というか、
まず、核となる素材が大切だと実感。
HEMPに出会ったのも、
そんな天然素材への関心の延長線でした。
なぜ、ヘンプを中心にしたのか?
天然素材の風合いはもちろん、
その歴史を知るほどに惹かれるものがあって。
昔から、人の手に触れ続けてきた素材なんです。
日本でも古くから、注連縄や鈴緒など、
神事の場で使われてきた背景があります。
成長が早く、
農薬もほとんど使わず、
水も少なくてすむ。
抗菌、防臭、吸水、速乾、UVカット。
人と地球にやさしい素材です。
不思議と、特別感のある素材だと感じています。
Perspective
― ものづくりの視点 ―
素材の風合いと、日常で使える強度。
そのちょうどいいところを探しています。
バッグやウォレットでは、
ヘンプ素材の裏に加工を施したり、
負荷のかかる部分には、強度の高い素材を組み合わせたり。
デザインは、表現と機能性。
そこには、どうしても自分の好みが出ますね。
表現のひとつとして、
ハンド刺繍や、刻印、プリントを加え、
一点モノを制作することもあります。
エイジングしていく素材だからこそ、
繊細で、均一ではないのですが、
ひとつひとつに、それぞれのストーリーが生まれますね。
その揺らぎや表情も、
使い込むほどに馴染んでいく要素だと思っています。
姫路レザーなど国産の革をパーツに使いながら、
天然素材と機能的な素材を、感覚的にバランスさせています。
使い込むことで育つことと、長く使えること。
その両立を、大切にしています。